ひそひそ声で話すのが聞こえた。マッギルは想像して胃が痛くなった。エネルギーの盾は揺るぎないが、それにしても悪い兆候だ。
「もし大規模な攻撃があったとしてどうなる?」彼は尋ねた。
「盾が活発である限り、何も恐れることはありません。何世紀もの間、ワイルドが峡谷を越えるのに成功したことはないのですから。成功すると考える理由がありません。」
マッギルは確信が持てなかった。外からの攻撃はずっと前にあっったとしてもおかしくない。いつあるやも、と考えずにはいられなかった。
「陛下」とファースが鼻にかかった声で言った。「今日この宮廷がマクラウド王国からの高官たちで溢れていることを考え合わせねばと思います。敵であれ何であれ、彼らを陛下がもてなさなければ侮辱ととられるでしょう。午後の時間を、一人ひとりにご挨拶なさるのに使われることをお勧めいたします。相当な人数の随行団を連れて、祝いの品もたくさん持参しています。スパイも大勢いるとの噂ですが。」
「国内にスパイがこれまでいなかったと誰が言える?」ファースがこちらを見た時、マッギルは彼を注意深く見ながら問い返した。そしていつもと同じく、彼もその一人なのではと考えた。
ファースは答えようと口を開いたが、マッギルはため息をついてもうこれでよい、と手を挙げた。「 議題がそれだけなら、私はもう行くことにする。娘の結婚式に出るのでな。」
「陛下」とケルビンが咳払いをしながら言った。「もちろん、もう一件ございます。最初のお子様の婚礼の日に行う伝統です。マッギル一族は後継者を指名してこられました。皆、陛下がそうされるものと期待していることでしょう。いろいろとうわさしております。皆をがっかりさせるのはお勧めできません。特に、運命の剣がいまだに不動のままとあっては。」
「そなたは、私がまだ王位についている間に後継者を指名しろと言うのか?」マッギルが問いただした。
「陛下、悪意はございません。」ケルビンは口ごもり、不安そうになった。
マッギルは手を挙げた。「伝統は知っておる。それに、今日指名するつもりでおる。」
「どなたかお教えいただけますでしょうか?」とファースが尋ねた。
マッギルは彼を見つめ、当惑した。ファースは噂好きで、マッギルは信用していなかった。
「時が来れば知らせを受けよう。」
マッギルは立ち上がり、皆も立った。彼らは礼をすると振り返り、部屋から急いで出て行った。
マッギルは立ったまま、どれほどの間かわからないくらい長く考えた。このような日には、自分が王でなければよかったと思った。
*
マッギルは王座から降り、静けさの中、長靴の音がこだました。そして部屋を横切った。鉄の取っ手を引いて古い樫の扉を自分で開け、脇の部屋へ入った。
彼は、この居心地のよい部屋で過ごす平和と孤独を、いつもと同様に楽しんだ。壁は、どの方向も隣とは20歩と離れていないが、高い天井にはアーチがある。部屋全体が石造りで、一方向の壁には小さなステンドグラスの丸窓がある。光が黄色や赤の部分から射し込み、がらんとした部屋に一つだけある物を照らしている。