Морган Райс

英雄たちの探求


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      ソアは抵抗を続け、ついには相手を押し返した。力がみなぎり、砲弾のようなエネルギーを感じた。その直後にサイボルドを少なくとも10メートルは後ろに飛ばし、獣は背中から地面に落ちた。

      ソアは起き上がった。何が起きたのかわからなかった。

      獣は体勢を立て直し、憤然と突進してきた。今度はソアも前と違う。エネルギーが彼の全身を伝い、今までにないパワーを感じている。

      サイボルドが空中に飛び上がった時、ソアは身をかがめ相手の腹をつかんで投げ、勢いにまかせて飛ばした。

      獣は森の間を飛んで行き、木にぶつかって地面に落ちた。

      ソアは驚いて振り返った。自分は今サイボルドを投げたのか?

      獣は2回瞬きをした後、ソアを見て再び挑んできた。

      今度は、獣がとびかかる瞬間ソアが喉元をつかんだ。双方とも地面に倒れこみ、サイボルドがソアにまたがった。が、ソアが転がり、獣の上になって相手を抑え、両手で窒息させようとした。獣は頭を上げて牙で噛み付こうとし続けたが、的を外した。ソアは新たな力を感じて手で押さえつけ、相手を離さなかった。エネルギーが自分の中を流れるのに任せると、驚くべきことに獣に勝る力を感じた。

      サイボルドを窒息させ、死に追いやった。獣はぐったりとなった。

      ソアはその後も1分間は手を離さなかった。

      彼は息を切らしてゆっくりと立ち上がり、目を見開いて見下ろし、傷ついた自分の腕を抱きしめた。今起きたことが信じられなかった。この僕が、ソアが、サイボルドを殺したのか?

      彼は、今日というこの日、これが印なのだと感じた。 重大なことが起きたように思えた。王国で最も知られ、最も恐れられている動物をし止めたのだ。たった一人で。武器を使わずに。本当のこととは思えなかった。誰も信じやしない。

      彼はそこに立ち、めまいを感じながら、自分を圧倒したのは一体何の力だったのだろうと考えた。それは何を意味するのか、自分は本当は何者なのか。このような力を持つことで知られているのはドルイドだけだ。父も母もドルイドではない。自分がそうである訳がない。

      それともそうなのだろうか?

      ソアは突然背後に人の気配を感じた。振り返るとアルゴンがそこに立ち、動物を見下ろしていた。

      「どうやってここまで来られたのですか?」ソアは驚いて尋ねた。

      アルゴンは彼を無視した。

      「今起きたことをご覧になったのですか?」ソアはいまだ信じられない思いで尋ねた。「自分でもどうやったのかわからないんです。」

      「わかっておるのじゃろう。」アルゴンが答えた。「 自分の奥深くで。そなたは他の者とは違うのだ。」

      「まるで・・・力がほとばしるようでした。」ソアは言った。「自分が持っているとは知らなかった力のような。」