大いなる者、ガレスとして。
彼は手を伸ばし、その柄に右手を置いた。そして宝石の一つ一つを、輪郭を感じ取りながら、ゆっくりと指を添わせ、握った。痺れる感覚を覚えた。強烈なエネルギーが手のひらから腕、そして全身へと広がった。経験したことのない感覚だった。これこそガレスのためにある瞬間、人生最高の時だ。
ガレスは一か八かやってみるというようなことはしなかった。もう片方の手も下ろし、柄にかけた。目を閉じ、浅く息をした。
神の意にかなうなら、どうかこの剣を振り上げさせてください。私に王であるしるしをお与えください。私が統治する者として運命づけられていることをお示しください。
ガレスは沈黙したまま祈った。祈りへの応え、しるし、完璧な瞬間を待った。だが数秒が、10秒がまるまる過ぎ、王国全体が見守るなか、何も起きることがなかった。
そして突然、父のこちらを睨み返している顔が見えた。
ガレスは恐怖に目を見開き、頭からその像を消し去りたかった。心臓が高鳴り、恐ろしい前兆のような気がした。
今しかない。
ガレスは前にかがみ込み、全力で剣を振り上げようとした。全身が震え、けいれんするまで力を振り絞った。
剣はびくともしなかった。まるで地球の土台を動かそうとしているかのようだった。
ガレスはまだ懸命に試みていた。はたから見てわかるぐらいにうめき声を上げ、叫んだ。
やがて彼は倒れた。
刃は1インチとて動かなかった。
ガレスが床に崩れ落ちた時、ショックに息を呑む音が室内に広がった。顧問が数名助けに駆け寄り、様子をうかがった。ガレスは乱暴を彼らを押しのけた。気まずい思いで彼は立ち上がった。
自尊心を傷つけられ、ガレスは臣民が今自分のことをどう見ているかを確かめようと見渡した。
彼らは既にガレスに背を向け、部屋から退出しようとしていた。その顔に落胆を、自分が彼らの目には失敗としか映っていないことを見てとった。今では全員が、自分が彼らの真の王ではないことを知っている。運命の、選ばれしマッギルではないと。彼は何物でもない、王座を奪ったまた別の王子でしかないと。
ガレスは恥で全身がほてるのを感じた。これほど孤独を感じたことはなかった。子供の頃から夢見てきたことのすべてが嘘で、妄想だったのだ。自分のおとぎ話を信じてきただけだった。
そのことが彼を打ちのめした。
第六章